Bandai Namco Pictures スタッフブログ

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制作部 クリエイティブルーム 高橋晃さんインタビュー(前編)

バンダイナムコピクチャーズでは2022年7月現在、アニメーターのスタッフを募集しています。今回は先輩スタッフの高橋晃さんにお話を伺いました!

プロフィール

高橋晃さん

主な代表作
アイカツ!」~「アイカツプラネット!」作画監督
「魔入りました!入間くん」作画監督
「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-」サブキャラクターデザイン・総作画監督作画監督 など

インタビュー

アニメーターになるまで

――本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは高橋さんがアニメーターを志したきっかけを教えてください。
ちょうど高校3年生のときに公開になった「魔女の宅急便」を見たのがきっかけですね。アニメやマンガに興味を持ち始めたのは高校生のころでした。

――遅かったんですね!
そうなんです、それまであまり興味がなかったんですが、急に興味を持ちだしまして。(笑)
初めてアニメ誌を買って、スタッフのインタビューなどを読んで「アニメーター」という仕事を知りました。当時得意科目は美術で、絵も好きだったんですね。高校3年生で、アニメが好きになって、さあ進路どうしようとなったときに「じゃあアニメーションの専門学校行くか!」と。

――結構いきなりですね!
いきなりなんです。(笑)小さいころからアニメが好きで、アニメ作る仕事に就きたいなという夢を持っていたわけではないんです。

――「魔女の宅急便」を見る前まで、考えていた進路はありますか?
あんまり考えてなかったですね。(笑)
大学に行く気はあんまりなく、「地元で就職なのかな~」とぼんやり考えていたくらいです。なので、いきなり目標が出来たんですが、自分の中ではこれだ!とカチッと来ました。いろんな想像とか妄想もしましたね。(笑)

――折角なのでそのお話教えてください!
将来はキャラクターを作る仕事をやりたいなと妄想してました。(笑)それは叶えたので、当時の目標は達成しましたね!絵描きとしてそこまでやってみたいなという気持ちは当時からありました。監督になろうというイメージはなかったです。

――短期間で物事が進んだ中、かなりクリアなイメージを持たれてたんですね。
当時は妄想でしたが、改めて思うと意外に叶うもんなんだなと。(笑)

――高校卒業後に入ったアニメーターの専門学校で、想像とのギャップはなかったですか?
入学して、想像していたより「意外とイケるな」と思ったんですね。間違ってなかったなというか。ただ、とんでもなく上手い人もいて、その自信をぶち壊されるんですけど。(笑)

――高橋さんにもそんな経験があるんですね。
アニメーターの吉成曜さんが同期なんですね。彼がとんでもなく上手くて、完全に心が折れましたね。(笑)当時からずっと「上手いな~」と思っています。今でも僕が一方的に憧れていますね。

――他にも同級生で今活躍されている方はいらっしゃいますか?
スイートプリキュア♪」の監督 境宗久さんも同級生でした。隣のクラスメイトくらいの関係だったみたいです。プリキュアをやってたときは学生時代の話は全然しなかったのですが、そのあと別のお仕事で会ったときに話したら同級生と分かりました。(笑)

――専門学校卒業から就職するにあたって、どういう活動をされていましたか?
専門学校を卒業するときに「どこに行きたいか」をあまり考えていなくて、就活するのが結構遅かったんです。記憶が曖昧ですが、卒業後一か月くらい何にもしていない時期がありました。「ここに行きたい!」という明確な意思はなかったですね。

――宮崎駿さんの「ジブリ」への希望はなかったんですか?
ジブリは無理だ」と。(笑) 
“同級生がジブリを受けて落ちた”という噂を聞いて、ますます敷居が高く感じました。作品にゆかりもあって、似たような絵柄の某社に行こうかなと考えていました。そちらは会社見学にも行きましたが、あんまりピンと来なかったんですね。

――何に対してピンと来なかったんですか?
う~ん、働いているイメージがあんまり湧かなかったというか。なんか違うな、場所も遠いな~っていう感覚でした。

――そこからスタジオダブへ入られる訳ですが、どういったいきさつがありましたか?
専門学校のときの知り合いが先にダブに就職していて、その方の紹介で入ることになりました。

――スタジオダブは「ピンと来た」んですか?
ピンと来たというか、「ここだろう」という感覚がありました。なんとなくなんですけど。こうやって今につながっていますし、入ってよかったなあと思っています。
入社当時はあまり知らなかったんですが、ダブはメジャーな作品をいっぱいやっていたんですね!サンライズは特に有名だし、ガンダムもやれたし……そういう意味でも入ってよかったなと思っています。

――高橋さんが若手だったころの、仕事の様子を教えてください。
昼夜逆転ということもなく、「朝10時から始業して夕方に帰りましょう」というのは当時から変わらない仕事のスタイルですね。これもダブに入ってよかったなと思うところです!
このスタイルでず~っと絵を描いている感じですね。「徹夜続きで大変」みたいなことはなく、しっかりしたルーティーンで仕事をこなしていくというサイクルです。

――仕事は大変ではなかったですか?
もちろんその時々で苦しいことはあるんですけど(笑)、30年くらいこの仕事をしていて「大変だった~!」みたいなイメージは本当にないですね。「キツくてイヤだ、辞めたい」という思いは100%ないと言えば嘘になりますが(笑)、ないと言えちゃうくらいの感覚です。

――入社されてすぐの作品は覚えていらっしゃいますか?
一番初めは「ガンバルガー*1なんです。サンライズの『エルドランシリーズ』ですね。「ガンバルガー」やって、「ゴウザウラー*2やってという感じです。
XEBECの「ロックマンシリーズ」もずっとやってました。ちょっとだけ東映アニメーションの仕事をすることもありましたが、あとはサンライズ作品でしたね。
ja.wikipedia.org

――アニメーターを目指すきっかけとなったジブリの作品とは、大きく作風が異なりますが……
違いますね。(笑)
きっかけはジブリだったんですけど。
……あれ、僕いつジブリのこと忘れたんだろう??

――(笑)
忘れたわけじゃないんですけど、ずっと好きではいて。
「ポニョ」までは映画館で見てました。「ポニョ」で忘れたのかな。(笑)

――最近はどうですか?
最近のも見ています。
ただ、結構いるじゃないですか、「ラピュタが一番面白いよ!」っていう人。そのタイプになっちゃってますね、僕。(笑)当時は絵柄も影響を受けていて、模写もたくさんしていました。

――いまは「いちアニメファン」という距離感なんですね。

アニメーターの仕事

――絵のお話が出たので、続いてはアニメーターとして得意な絵があれば教えてください。
得意というのはあまりないんですね。僕は何でも描けるようにしたいと思っています。好きなものはありますが……

――ちなみにその「好き」は何ですか?
かわいいキャラを描くのは好きですね。「アイカツ!」「プリキュア」はすごく楽しかったです!

――「何でも描けるようにしたい」というのは、「アニメーターとして苦手な分野があってはいけない」という思いからですか?
そうですね、「アニメーターたるもの(苦手な絵があってはいけない)」という考えがあるんですよ。古い考えかもしれませんが……
僕の頃はそんなイメージだったんですね。メカもCGではなく手描きの時代だったのもあり、ガンダムなどを経験した環境だったからかもしれません。だからこそ「何でも描けるようになりたいな」と。サンライズはメカもの多かったし……(笑)

――今の若手・中堅の方はそういう考えはあまりないんでしょうか?
皆さんもあるんじゃないですかね? アニメーターはみんなそうだと思いますよ。何でも描けるほうが楽しいしかっこいいです。
なかでもエフェクト専門とか特化している人はいると思います。ただそういう人は得てして何でも描けるんですよ。(笑)全部が高レベルで、さらにそこから突き抜けた何かを持っている方がいるんですよ。恐ろしいことに。(笑)

――アニメーターを志す上で、何か知っておいてほしいことはありますか?
僕は結構多趣味でして、色んなことをつまんでいると、絵に生かせると思っています。

――最近の実例はありますか?
現在放送中の「BIRDIE WING」ですが、実はゴルフはやったことないんですね。ただゴルフクラブを見たり、持ったりしたことはあります。それだけでもクラブの形や太さは分かりますし、「こう持って、こうスイングする」イメージが何も触ったことがない人よりは湧きます。「面の取り方(捉え方)」は絵で見たときより、実物を立体で見たときの方が理解しやすいんですね。

あとは、モデルガンを作ったことがあるとか。「BIRDIE WING」で銃を描いていたんですが、分かっている人と分かっていない人では描き方が違うように感じます。実際に立体として見たことがあれば、絵に対する考え方・描き方が変わってくると思います。
なので色んなものをやっていると、苦手な絵はなくなるよ、と。(笑)
birdie-wing.net

――なるほど!
僕はそれを武器にしたいと思っていて、色んなものを知っている人間になりたいなと思っています。「分からないことはとりあえず調べよう」という意識があるんです。調べて間違ったことを覚えている可能性もありますが。(笑)

――得意・不得意というよりは、アニメーターとして何でも描けるようになりたいし、そのためには物事への興味を強く持って、分からないことは調べ、色んなことを知っているからこそ描くことが出来るようになる……という感じでしょうか。
僕の中では絵は「理屈」なんですよね。僕は右利きなんですが、右手で描いても左手で描いても出来上がる絵は一緒だと思っています。

――どういうことでしょうか?
頭で考えているものを描いているので、最終的に出来上がる絵は左右どちらで描いても同じになるはずです。あとは上手く手を動かせるかだけ。だからこそ描くために色んな情報が欲しい、ということにつながっていきますね。

――現実にないものを描くことも多いですが、その場合はどうしたらいいですか?
リアルを突き詰めることかなと思います。例えばガンダムは実際にはないですが、“ガンダムを世の中に存在するよう成立させるようにするならば、こうであるだろう”というものはあると思うんですね。まあ、実際にはマニピュレーターとか殴ったら壊れるんですけど。(笑)

――理屈っぽいのは性格ですか?他のことも理屈っぽかったりしますか?
他のことはそうでもないですね……(笑)

――職業だから理屈っぽい、ってことですかね?
職業だからかな…??
仕事としてやっているうちに「ロジックだな」と思うことが積み重なっていった気がします。30年もアニメーターをしているのでどこからスタートだったのかは覚えてないんですけど……(笑)

――続いて作画監督のお仕事について…は次の記事で!
bnpictures.hatenablog.com

お知らせ

バンダイナムコピクチャーズでは、2023年4月から働くアニメーターを募集しています!
書類の受付は7月20日(水)まで!みなさんのご応募をお待ちしています。
recruit.bn-pictures.co.jp

お知らせその2

BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- Season1 Blu-ray BOX(受注生産限定盤)の予約受付中!
受注期間は2022年7月31日(日)まで!
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