Bandai Namco Pictures スタッフブログ

東京都杉並区から世界のみなさまに楽しい作品をお届けしております。

制作部 クリエイティブルーム 高橋晃さんインタビュー(後編)

バンダイナムコピクチャーズでは2022年7月現在、アニメーターのスタッフを募集しています。今回は先輩スタッフの高橋晃さんのインタビューの後編をお届けします。

プロフィール

高橋晃さん

主な代表作
アイカツ!」~「アイカツプラネット!」作画監督
「魔入りました!入間くん」作画監督
「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-」サブキャラクターデザイン・総作画監督作画監督 など

インタビュー

▼前編はこちらから!
bnpictures.hatenablog.com

作画監督の仕事

――バンダイナムコピクチャーズの作品では「作画監督」をされていることが多いですが、具体的にお仕事内容を教えてください。
僕がやっているのは、レイアウトのチェックです。色んな人が描いてくる画面設計を、演出の意図を汲んで、画面として「矛盾がないか」「おかしくないか」「つながりはどうか」をチェックします。そのあとレイアウトが原画になります。原画になった段階では、レイアウトである程度チェックしているのでそんなおかしなことにはならないのですが、キャラの崩れとかおかしなところがあれば直しつつ、細かいところを修正します。担当している人の力量にもよるのですが、ちょっと直したり、全部直したり、描き直したりします。(笑)
もともと○だったものが、次の絵で○でなくなっていたりするパターンの崩れもあるので、そこも修正します。

ほんのちょっとの動きで、形が変わっていっちゃう人が結構いるので、そこを原画のときは直すのが多いかな。「絵のおかしなところを直していく」というのが単純な作監の説明ですかね。

――レイアウトと原画のチェックはどちらのほうが分量が多いですか?
分量というよりは、重要度が異なっていて、より大事なのはレイアウトのチェックです。レイアウトの段階でどうしようもなかった場合、そのあとが全て破綻してしまうので、辻褄を合わせるのに精いっぱいになってしまいます。

――お仕事で携わった作品で、お気に入りがあれば教えてください。
先ほども話に上げましたが「アイカツ!」シリーズがすごく楽しくて、描いてて楽しかったんですね。特に「アイカツプラネット!」が非常に楽しくてですね!絵がすごく好きです。描きやすさもあったし、キャラ造形も好みで、やってて「しっくりくるな」という感覚でした。

――逆に難しかったなというものがあれば教えてください!
アイカツ!」のとあるキャラクターはすごく描きにくかったんですね。

――ええ!意外です!
バランスがなかなか取れなかったんですね。同じキャラデザインの方だった(やぐちひろこさん)「フラ・フラダンス」は描きやすかったのですが……自分でも「何故!?」って感じなんですけど。(笑)
hula-fulladance.com

――高橋さんの「難しい」という感覚は、設定のキャラクターデザインに似ないということなんですか?
僕もともとそんな似ないので……(笑)
そことはちょっと違う感じなんですが、なんか難しかったですね。その差は分からないんですが……

――そういう悩みもあるんですね……絵が描けないので全然共感できなくてすみません。
(笑)
なので、「アイカツ!」は良いですね……!またやりたいんだけどなあ……

――「アイカツプラネット!」チームも、高橋さんがこう思っていることを知らないと思いますので、伝えておきますね!
アイカツプラネット!」は最終的に出来上がった映像も好みです。自分が思っている以上に良い画面になったので、すごく嬉しかったんですよね。

――出来上がりのイメージは原画を見ている段階からあると思うのですが、高橋さんの想像を超える部分があったということでしょうか。
自分で描いた絵がさらにブラッシュアップされて、もっと良くなった感覚があります。撮影が好みだったのかなあ?仕上かな?特効なのかな?
どれかは分からないんですけど、「アイカツ!」はいつもそういうイメージがあって。「アイカツプラネット!」は特殊な画面だったからかもしれないですが、より思いました。

――色んな工程を経て完成するアニメだからこそですね!

アニメーター志望の方向け

――近年のバンダイナムコピクチャーズ アニメーター募集の際は、選考官を務めていただいております。どのような点を主にチェックしていらっしゃいますか?
「画力」を見ていますね。上手いか、上手くないか、ですね。伸びしろはわからないので、今の時点での絵の完成度を見ています。

――もう少しだけ具体的に教えてください。
う~ん、そうですね、「線」ですかね。上手い線とそうでない線があります。

――迷いがある線とか、一発で決まっている線とか、そういうことですか?
それがですね!一発で決まっているのは=上手い線ではないんです。それも難しいところなんですけど。明らかにダメな描き方はありますね。絵を描く専門学校や美大などで学んでいる方は大丈夫だと思いますが。

――なるほど、言葉にするのは難しいかもしれないですね。では、例えば画力を磨くにはどうすればいいでしょうか。
観察眼ですね。
「丸いものを丸く描けるか」のようなテクニック的なものも大切ですが、個人的には「モノを見る・考える・行動を理解する」の方が大事かなと。それを表現できるかどうかも、「考え方」になるのかなと思っています。

――考え方を紙に映し出すにはテクニック(画力)は必要かなと思いますが、それを得るにはやはり手数が必要なのでしょうか?
自分の中では手数ではなく、ロジックだと思うんですね。
どうしてこういう絵を描いたのかを説明できるんですよ。この線はなんでここにあって、この線はどうしてこの太さで描いているのかという意図を説明できるようになるのが大切です。応募者と話す機会があれば、そこを説明できる方がいいなと思います。今まで聞いたことはないですが、他のアニメーターも同じように思っているんじゃないかなあ。

――なるほど、ロジックはアニメーターとしての必須要素だし、改めて聞くことでもないという感覚なんですね。続いて、提出書類のポートフォリオに入れてほしい素材があれば教えてください。
これまで話してきた内容にもなるのですが、「静物のデッサン」ですね。

――石膏のデッサンなどがベタなイメージとして浮かぶのですが……
そうですね、モノの形をどうやって捉えて、どう出力するかを見るには、石膏デッサンは分かりやすいですね。キャラクターの模写は、僕は分かりにくくて。(笑)お手本と同じようにそっくり模写が描けるというのはひとつの能力なのでそれは評価できます。模写力だけでも武器になりますが、それだけだとちょっと厳しいですかね。

――模写力だけでも武器になるがロジカルさが必要、ということですね。
そうですね、摂理を分かってて描いていることが大事かなと思います。僕は「偶然描けた線の集合体の絵」は何か違うなと感じていて、それはデジタルと鉛筆の差もあると思うんです。

――その「差」とは?
デジタルはアンドゥができるのが大きいと思っています。描いて消して、描いて消してができちゃうんですね。僕それを結構やっちゃってることがあって、それがあんまり好きじゃないんです。一つのテクニックという気もするのですが。

――お話を伺う限りでは、そこは一貫しているなと思います。「右手で描いても左手で描いても同じ絵になるはず」というのはそういうことですよね。アンドゥを繰り返してしっくりくる線を探すのは、本来とは違うのかなと。頭で考えている絵を出力できることが大切だと受け取りました。

これからの目標

――高橋さんのこれからの目標などありましたら教えてください。
ツールが変わってきて、描き方もどんどん変わっていくんだろうなと思っていて、ついていくのが目標ですね。先ほどのデジタルでのアンドゥ然りなんですけど、「それもいいんじゃないか」という思いもあります。

一番最初は鉛筆で仕事をしていて、Stylosでデジタルになり、CLIP STUDIOに移行しています。こうしてどんどん描くソフトが変わってきているので、考え方もアップデートしていかないとダメだなと感じています。

――絵の描き方が変わるというよりは、アニメーションの在り方が変わるということでしょうか。
そうですね。僕がイメージしている感じですけど。

――将来のアニメーターに求められることは今と変わるんですか?ロジカルな考えが必要であることは、ツールの移り変わりには影響しないように思えるのですが……
絵に関しては変わらないですね。アニメーションの作り方が変わると思っています。

――最後にメッセージをお願いします!
色んなものを見て、色んなものを知ると描けるものが増えます!なんでも描けるほうが楽しいしかっこいいです。表現する材料がたくさんあった方がいいと思います。色んなインプットをしまくって、なんでも描けるようにしてください。(笑)

――貴重なお話をありがとうございました!

お知らせ

バンダイナムコピクチャーズでは、2023年4月から働くアニメーターを募集しています!
書類の受付は7月20日(水)まで!みなさんのご応募をお待ちしています。
recruit.bn-pictures.co.jp

お知らせその2

BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- Season1 Blu-ray BOX(受注生産限定盤)の予約受付中!
受注期間は2022年7月31日(日)まで!
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